「心理療法(サイコセラピー)」と「カウンセリング」。どちらも心理学の専門家がクライアントに提供するサービスの名称です。この2つが同じものだと考える人も少なくありませんが、別物だと言う人もかなり多い。ちょっと乱暴にまとめてしまうと、ヨーロッパ由来の臨床心理学(特にフロイトやユング)に親しみのある専門家は「心理療法」という名称を、アメリカ由来のもの(特にロジャーズの来談者中心療法)に親しみのある人は「カウンセリング」という名称を、それぞれ好む傾向があるようです。
この「心理療法」と「カウンセリング」を大塚プラクシスでは(便宜上)区別し、内容と目的の異なる、それぞれ別のものとしてご案内することにしています。
1)(ユング心理学を元にした)心理療法
「精神分析」「認知行動療法」「家族療法」など、心理療法にはさまざまな種類がありますが、当所で提供可能なのは「ユング心理学に基づく心理療法」です。日本(AJAJ)、およびスイス(ISAP)での、ユング派分析家養成機関での正式な専門的訓練をベースに、心の探求を行っていくやり方です。
「ユング心理学に基づく心理療法」の特徴は「心の中」と「心の外」の両方を「現実」として大切に扱っていくということです。夢分析やアクティヴ・イマジネーションなど、ユング心理学独自の方法に基づいて、心の内側、その深みを探っていくこと。いま、自分が生きている世界(友人や恋人との人間関係、夫婦や親子などの家族関係、学校、職場、地域、社会)の中で、より満足のいく生活ができる方法を探していくこと。そのどちらの「現実」も大切な課題と考え、両方の探求を行ったり来たりするのがユング心理学に基づく心理療法の特徴です。この「行ったり来たり」を繰り返しながら、生きることの「意味」を見出していくことが、その目標となります。
心の深みを探求し、心そのものの成長を促していくこの心理療法には根気が必要です。多くの場合、半年以上、場合によっては数年間かけて、週1〜2回定期的に来談し、自分自身の心との対話を続けていきます。
なお、現時点(2020年5月)で私が「ユング派分析家」の有資格者ではなく、「キャンディデート(候補生)」である点にご留意ください。資格取得は2022年ごろを見込んでいます。
2)(臨床心理士としての)カウンセリング
こちらはさまざまな問題の解決のために、臨床心理学の専門家としての具体的な助言や提案を行っていくやり方です。
私(大塚)はこれまで医療機関(心療内科医院)、学校(小学校・中学校・高校)、就労支援機関(ハローワーク)など、さまざまな領域で臨床心理士としての仕事を積んできました。それらの経験、および最新の臨床心理学の知見をもとにして、「学校や職場に行けない」「人間関係がうまくいかない」「やめたいと思っているのにやめられない」などの問題をできるだけ早く解消、もしくは緩和することを目標に、具体的なアイディアを出していきます。
毎回「目標」を決めて、次回の来談時にその「目標」が達成できたかを確認し、もしもできなかったとしたら──当然ながら上手くいかないことは往々にしてあるものです──今度はどのような工夫が必要かを考えていきます。
来談のペースはこの「目標」の内容によって変わってきますが、多くの場合月に1〜2回の頻度となります。
専門家からの積極的なアドバイスを必要とされている場合や、解決すべき問題が具体的な場合(「復職する」「外出時の不安を低減する」など)は、「2)カウンセリング」のご利用をお勧めします。
一方、心の中の「現実」の探求も大切だとお感じになる方、あるいはユングやユング心理学に関心のある方には、「1)ユング心理学に基づく心理療法」の方をよりお勧めすることができます。
なお、当然ながら「心理療法」と「カウンセリング」のどちらをご利用になるか、事前に決めてから来談いただく必要はありません。初回のご来談時によくお話を伺い、どちらが適切と思われるか、担当者の方から提案させていただきます。以上はご来談前の参考にしていただけたら幸いです。初回のお申し込みはこちらから承っております。
大塚プラクシス(神戸三宮・加古川)
大塚紳一郎 拝